我がオーディオ装置はオーデイオ・マニアが自慢する優秀録音のためではありません(別に悪い録音のマニアではないが。。。)。オーディオ自体その時代の記憶を再生するための装置ということが言えます。「闘志を燃やすジャンル」はオーディオという枠には到底収まらない音源へのアプローチを集めたものです。以下、概略ながら追ってみました。。。。の前に断って置きたいのは 1)自称「音源マニア」である(ソース保有数はモノラル:ステレオ=1:1です) 2)業務用機材に目がない(自主録音も多少やらかします) 3)メインのスピーカーはシングルコーンが基本で4台を使い分けてます 4)なぜかJBL+AltecのPA用スピーカーをモノラルで組んで悦には入ってます。 5)映画、アニメも大好きである(70年代のテレビまんがに闘志を燃やしてます) という特異な面を持ってますので、その辺は割り引いて閲覧してください。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
闘志を燃やすジャンル
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【懐かしのテレビまんが】 文化的背景 「テレビまんが」という名称は70年代までのものです。人によっては最初のアニメ・ブームを生み出した「宇宙戦艦ヤマト」までという厳密なものから、ビデオカセットでOVAが発売された1980年初頭を区切りにする場合もあります。私個人はビデオ・レコーダーが家電として定着して放送ソースの個人所有が可能になった頃がひとつのエポックだと思っています。その後はテレビ・アニメ、ジャパニメーションと作品の質と共に呼び名が変わっていきます。いまでこそ日本のアニメは世界的に注目されていますが、70年代までは純然たる子供の見せ物でした。60年代の安保世代をくぐり抜けてきた大人のテイストが加わった作品も放映されましたが、基本的には親の監視のもとに楽しむのが通例。我家でも永井剛作品は親の評価が180度変わる代表的なものでした。 そんななかで放送用テープ(今では完パケという)の品質も少しづつ移り変わっていきます。最初は光学録音帯をフィルムと同期させて放送するものでした。テープのすだれ模様も懐かしいですが、ガサガサしたノイズが乗るのが特長です。60年代後半からは磁気音声トラックを持ったシネ・テープが使われ始めます。しかしそれでもモノラル音声で製作された時期は長く、80年代も末に近づいてようやくステレオ音声で楽しめるようになります。ここでは音響再生的にクリティカルなモノラル収録の作品を扱うようにします。 私の好みがかなり隔たっているので参考になるかどうか判りませんが、CATVでの再放送を含めて以下の作品を観てます。コメディとアクションに好みが集中してるようで、スポ根、戦闘ロボ、魔女っ子がスッポリ抜け落ちてます。私の分析(??)では、ドラえもんは魔女っ子の分身、ピカチュウは戦闘ロボの変化球と思ってますので、その辺でどこか引っ掛かるところがあるのかもしれません。
再生機器
1)今どきのAV機器風でアプローチ 本格的なAV機器はパイオニアのLD発売以降になるが、LD最盛期に流行った3wayスピーカーは画面にピンポイントに定位することがないため、お化けのような口が蠢くようになり、ブラウン管ではどこか違和感が付きまとうのが通例。最近は明確な定位感をもたせるために縦方向にスピーカーを多数配置したライン・アレイ方式か、疑似同軸のバーチカル・アレイ方式が使われます。もっとも大型のプロジェクターを使ってれば、大型のスピーカーでも問題はないかもしれません。 逆にテレビまんがのような放送録音はナローレンジな帯域に音が鮨詰め状態になるので、無闇にワイドレンジで過敏な特性のスピーカーだとノイズや歪みが目立って興醒めします。私は富士通テンのTD512を使ってますが、TD512は定位がピンポイントなのと、パルス性ノイズが尾を引かずに音声を浮き上がらせる過度特性の良さがありますので、意外に古い音声でもバランス良く再生できるようです。収録年代によってイコライザーで以下のように調整するとそれなりに聴けるようになります。
2)懐かしいラジオ風にアプローチ そこで周波数レンジの狭い昔風のスピーカーを捜すことになります。昔のテレビ用スピーカーは大きいサイズで楕円型の20cmくらいが通例ですので、放送用モニターに使われたパイオニアPE-16Mやパソコン用モニターのMicroSolusion社Type-Sで試してみました。いずれも結果は昔のテレビ放送の印象そのままで、かつ案外素っ気ない音だということも判ります。ただ子供の頃は感受性が高くて見聞きした全てに感動するものですが、物事を斜めからみる癖のついた世間擦れした大人はそういうわけにいかないようです。いわゆる原体験がそのまま全てを優先するわけでもないというのがテレビまんがの難しいところです。 以上は60〜70年代のアニメについてですが、逆に80年代のアニメによく使われたデジタル・シンセの音では、8bitで造られ最終的にはアナログ・テープに収められた結果、今聴くといかにもレンジが狭く古臭い音がします。ところがこの手のシンセ音はPE-16Mなどの放送用音声モニターとの相性が良いことが判り少し見直しました。OVA創生期やジャパニメーションに興味のある人はおひとつ如何でしょうか。
3)豪勢に東映まんが祭風にアプローチ そこで開き直って大きめのワイドレンジ・ユニットで豪快に鳴らしてみました。38cm径のJBL D130を使って聴きますと中音のメリハリがしっかりしてセリフが綺麗に浮び上がります。もともとD130は映画音声にも強い相性を示すユニットですが、今までの手のひらに乗ったマスコットのような存在が実物大のキャラクターに感じて目の覚める感じがします。特に世界名作劇場のセリフ中心の展開はまったく物語のなかに吸い込まれていくようで完全にハマってしまいます。実はアニメの場合は通常のテレビ放送と違いテレビ・カメラというものを使えないために、ビデオ・テープではなくシネ・テープで保管されたフィルムを使ってリマスターされています。実は映像、音声ともにフォーマット自体が映画産業の技術と深く関わっていると考えられるわけです。 これにAltecの劇場用ホーンを加えて聴くとさらに磨きがかかってきます。光学録音フィルムで収録された初代「おそ松くん」も下ろしたてのパリッとした音で聴けます。「ルパン三世 first」なども収録機材のデバイスが真空管からトランジスタに移り変わった時期に収録され、普通に聴くと痩せた音でせっかくのチャーリィ・コーセィさんの名アドリブ演奏も霞んでしまうのですが、D130+802Cで聴くと驚くほど張りのある音で甦ります。ちょっと大袈裟ではありますが、こういう道楽もゆるされていいのでしょう。。。か? 私はオススメだと思ってます。ちなみにゴジラ対モスラはまだ試していません。
以上、テレビまんがの音響再生についてコメントしましたが、参考になる部分があれば幸いです。ちなみに映像モニターはSONY製の15インチ液晶テレビなので、D130の15インチと比べるとバランスが悪そうですが、思ったほど違和感はありません。ほんのり暗いところで観るとテープノイズから立ちのぼるセリフのひとつひとつの彫りが深く、自然に物語のなかに入っていけます。大袈裟な5.1chなどなくてもテレビ台と思って置いておけばこれで十分楽しめるわけで、部屋に余裕があればぜひ試してみてください。もちろん本職の映画音声も優れた再生ができますし、最近のアニメでもギャグ系の「ハレのちグゥ」のような隈取りの良い音声ははかまわずモノラル合成して楽しめます。 追記) ところで最近驚いたことに気が付きました。TD512にスーパーツーターを追加したら、これまでマスターテープ(シネテープの磁性帯トラック)の劣化で埋もれて再生不可能と諦めていた空間エフェクターの音がみるみる甦ってきたではありませんか!!久しぶりにCATVで観た「赤毛のアン」のエンディングなど、帯域は狭いながら夢見がちな感じが巧く表現されてて、小学生の頃リアルタイムで見てた当時の印象が再現できました。単に歳を取っただけではなかったようで少し安心するとともに、30年近く前の音の記憶というものが本当に正しいのか? という疑問も多少持っています。 ページ最初へ 【ビートルズ】 文化的背景 Beatles…そうビートルズである。しかし私はその方面のコレクターではない。というより60年代のポップス・シーン全般に妙なトラウマを抱えている。単純にメソメソクヨクヨして言ってることがよく判らないのである。その元凶がビートルズらしいのだ。60年代最大の売れっ子グループで、レコードをはじめラジオ、テレビ、映画、新聞のどのジャンルでも彼らの話題で持ちきりだった。最近になって当時のメディアの断片が発掘されて情況が再現できるようになったが、それまでは残された13枚のアルバムを巡るレコードだけが友達のいわゆるビーマニの独断場。オリジナル・プレスの英国製レコードを現地の10倍の高値で買い漁り、東芝EMIをナジって米キャピトル盤を持ち上げればもう一人前。レコードのブックレットには幼稚な感想文を綴って、何でもビートルズが最高でパイオニアでなければ気が済まない解説があたかも当たり前のように闊歩する。そう、彼らのほとんどは1973年に出されたベスト盤「赤盤」「青盤」の申し子なのだ。生きて活動していた頃のビートルズを知らずに残像だけを追い求めている「伝説のファン」ともいえる。 活動当時のビートルズはほとんど全てのメディアで扱っていた。このことは当時流れた全てのメディアの業界の仕組みや流通経路の違いと関係なく、共通して彼らの記録が残っているということである。以下にそれを箇条書きしてみた。
ここで問題なのが数々の伝説を打ち立てた当時のファンの嗜好と日本におけるビートルズ体験は極めて隔たっていることだ。まず旧来のコレクターの興味はレコード周辺の「事件」で停滞していて、ラジオ番組でのハツラツとしたジョークやアイドル振りをサービスした映画にはほとんど興味を示さない。映画など他のロック・バンドでは絶対あり得ない超お宝映像なのに。BBC音源のブックレットでは当時を知る人が歴史的背景も含めて客観的に解説し、仰々しい誉め言葉を並べずに自然に良さを伝えている。デッカとBBCのオーディション方針の違いとか、カントリー・ウェスタンな味わいがあるとか、ビートルズがいかに本場アメリカのロックやR&Bを紹介する立場にあったかとか。そうした様々な要因が重なって、まだロック全般に保守的だったイギリスの家庭にビートルズが紹介され受け入れられていったことを。一方でアメリカでは演奏に支障が出るほどの絶叫で包まれる様子が生々しく記録される。イギリスで大らかに演奏していたカバーの焼き直しは無し。ジョークも当然通じないし無神論者扱いもされる。イギリスで暖かく迎えられた演奏そのものの娯楽性よりも、ビートルズのオリジナル曲が好まれた。こうした評価の延長線に日本での一般論は立っているようにみえるし、セールスマン・トークのような評論も後を絶たないわけである。 そういう情況なので、ここで書く事柄はビートルズをメロメロに賛美するのが目的ではなく、ビートルズの時代の方法に添ったメディア遺産の扱いを通じて、同じ時代の共通の遺産をより良く活用しようというのが目的である。これで何が便利かというと、ビートルズのために高価なリマスター機材が投入され、その後に他が誘発されて優れた音源が発掘される。ビートルズが歩けば桶屋が儲かる。これが天下の図式である。これに乗らない手はない。 再生方法 とりあえず60年代に使われた機材を総ナメすると。。。
こういう具合にあまりにも多用なメディアで扱われたビートルズだが、問題別に扱うと以下のようになる。如何にバラエティーに富んでいたかに驚くと同時に、よりコアなジャンルへと高飛びするもヨシ。おいしいところだけ戴こう。
1960年代を懐古する録音たち。ビートルズが儲かれば桶屋が儲かる。良いマスターとコアなラインナップが勢揃い。
以上、ビートルズ・ファンにとってはほとんど役に立たない、60年代ポップスの好きな人には少し役立つエトセトラを綴ってみました。これでトラウマは消えたでしょうか? いえいえ、あなたもわたしも一生トラウマを抱えて購入し続けるのです。 ページ最初へ |